2月 9, 2018
Playing with tradition. RUG BY GUR interview
セリア・エステヴェシュは、ポルトガルの伝統的な織りの技術を用い、アーティストやイラストレーターとコラボレートしてグラフィカルでユニークなラグを製作しています。仕事場でもどこでも大きな愛犬のシュシュを連れているセリア。近年はFABRICAと組むなど精力的に活動をしています。見ているだけで楽しくなるラグを次々と作り出すセリア、彼女が友人たちと共有しているポルト市内のスタジオで話を聞きました。
“私は手工芸がとても豊かなポルトガル北部の町、ヴィアナ・ド・カステロで育ちました。子どもの頃からこれまでの記憶の中にいつでもラグがあります。自分の家や友人の家、その家族の家で使われている手織りのラグです。ポルトガルでは本当にどこの家ででも見かける典型的なもので、シンプルで美しく、大概が同じもの。テキスタイル工場のリサイクルの生地が無作為に選ばれて織られています。 この典型的なポルトガルのラグを楽しいものにするのがGURです。 丁寧に選んだ素材を用いて同じ技術をもって作りますが、そこにアーティストやイラストレーターのアイデアをラグに翻訳してデザイン要素を織り込みます。
10代の私にはヴィアナ・ド・カステロは小さく思えたので、ポルトに来てアートスクールでグラフィックデザインを学び、後に絵画と印刷技術のマスターを取得しました。 アーティストのためのプリントスタジオで数年働いた後、故郷ヴィアナ・ド・カステロでの展覧会に招待されます。伝統的な手工芸の職人と若手デザイナーの架け橋となることを目的とした企画展でした。そこで私は今も一緒に製作をしている織り手のクラウディア・ヴィラシュ・ボアシュと組んで織物のためのデザインをしました。これが最初のGURです。 ここでできたことがとても嬉しく、とても手応えを感じました。 早速この経験をシェアしたいと思い、イラストレーターの友人の一人にデザインを依頼してラグを続けて作ります。こうしてGURはスタートしました。
織機で織り、インスピレーションを最も得ることができる私の手の中でそれが出来上がって行くのを待つ。新しいラグを製作する工程に、私はほとんど中毒のようです。自分自身の手で何かを創造する過程で、自分の身体がそれと対話することは、私に大きな喜びをもたらします。 そしてこの限られたラグの制作工程の中で、新しい方法を見つけることは楽しみの一つです。私たちはアーティストのデザインをより効果的に翻訳するための新しいテクニックを常に試しています。GURは決して元のデザインのコピーではありません。織の技術へのデザインの翻訳です。できることに制限はありますが、常に新しい発見があります。結果は常に驚きで、大概いつもいいものが出来上がります。
GURによって今は想像もしていなかったようなアーティスト達と仕事をしています。アートとイラストレーションに携わっている優秀な友人に囲まれていること、これは本当にラッキーだと思っています。”
Q 特に嬉しいと感じるのはどんな時ですか。
A 新しいコラボレーションの始まる時と最初のサンプルができあがった時。アーティストからのデザインをラグに落とし込む時にどうなるだろうと心配だった時は特に、できたものを手にしてとても嬉しいです。
Q アーティストの方からコレボレーションの依頼が来るのですか?
A 以前は私から連絡をして依頼をしていましたが、近年はアーティスト達から作りたいと連絡をもらいます。送られて来るデザインの中からこの織のテクニックで可能なものを選ぶところからコラボレートをスタートします。幾らかのデザインのやり取りを繰り返して、最終的な解決策を見つけるという工程です。数ヶ月の後にサンプルが出来上がります。 1ヶ月に1つの新しいことをするようトライしていますが、そうするのはなかなか難しいです。最初のサンプルを仕上げるまでにはとても時間がかかります。常に待っている人たちのラインが今もある状態です。もっとできるようにしたいです。
Q 最近最もエキサイティングだったコラボレーションは?
A “FABRICAとのコラボレートです。これはとても良かった。 実際にイタリアのファブリカ デザインリサーチセンターに赴き、彼らと仕事をできたことはとてもいい経験でした。前回も含め多くの海外のアーティストとのコラボレーションはemailでのやり取りで進めることが多いのです。 デザインをいかにラグに翻訳できるのか、私は彼らに直接説明できますし、彼らも私が何をできるのか知ることができます。お互いにとってとてもいい方法です。 ファブリカとのコラボレートは2回目になるのですが、前回2-3年前のものがとても良かったので次回をやりたいねとアートディレクターのサム・バロンと話していたところ実現しました。ファブリカではレクチャーをし、3日間に渡りワークショップをして彼らも小さなプロトタイプを手で作りました。 本当にとても良かったです。食べ物も美味しいしね。”
Q アイスランド、中国、イタリア、いつもよく旅をしているように思います。
A “ポルトは小さな街でとてもいい街、私はここに住むのが好きです。 でも時々外に出てまた帰ってきて、ということが必要です。 昨年は中国でのレジデンシーや友人のアイスランドの大学での講演について行 くなど、多く海外に出ていました。。インスピレーションを得たり、ルーティンから離れて外の世界に触れ、会ったことがない誰かに会うようにしています。私はもっと旅をしたいと思っています”
Q ポルトガルにはあなたのような若いインディペンデントで魅力的なクリエイターが出てきているように思いますが、あなた自身はどう感じていますか。
A “私はこの国ではどのように仕事をして食べて生きて行くかを見つけるのはとても厳しいことだと感じています。アーティストやデザイナーにとっても難しいことです。 幸運にも私は人がやっていないオリジナルなことをやっていて、これが良いビジネスにつながっています。仕事を得るのが難しい若い人たちはもっとクリエイティブにオリジナルな方法で世に出て行くべきだと思います。”
Q これからやってみたいことは?
A “このプロジェクトをはじめて5年になりますが、毎年新しいデザインに取り組んできました。今年はさらに新しいデザインの企画を始めるつもりです。リネンとウールを使ってラグを作りたいです。 ポルトガルには北部やアレンテージョ、それぞれに古くからの織りの技術がありますが、私は今のこのラグの織りの技術を用いて素材を変え、新しいものを作りたいと考えています。”
これからどんなラグが見れるのか、ますます楽しみです。
2018年1月
「RUG BY GUR ×NAMBAN OPORTO KITCHEN STUDIO EXHIBITION」
2018.2.2(金) – 12(月・祝)
* 2.5(月)は定休日のため休み
at「PADDLERS COFFEE」<
東京都渋谷区西原2-26-5 {GoogleMap>}
幡ヶ谷駅より徒歩5分 / 代々木上原駅より徒歩10分
TEL : 03-5738-7281OPEN : 7:30am – 6:00pm
CLOSED : 月曜日(祝日を除く)
http://castella-note.verse.jp/cn/exhibition/